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教育・習い事・就職・転職・起業・旅行、などをテーマに仕事を趣味にする方法を考え、実践し、公開していきます。

新井紀子著「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」を読んで

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久しぶりにボリュームのある本を読みました。新井紀子著「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」です。AIとはどういったものなのかを知る良作であり、AIが進化する中で自分が、自分たちが何をすべきなのかを考えるきっかけになる本です。

AI vs. 教科書が読めない子どもたち

 

AIで仕事がなくなると言われています。一方で、AIが発達することで生まれるビジネスもあるという楽観的な見方もあります。私はこういう楽観的な見方が好きで、「AIやロボットが人間の仕事をしてくれるなら楽でいい!それなら人間はAIやロボットにできない創造的な仕事をしたり、増えた余暇で趣味に没頭すればいい」という意見に、納得していたりします。

 

一方で新井紀子さんによると、AIができないようなことを多くの人間が仕事にできるとは考えていないようです。中にはできる人もいるでしょうが、できない人が多数であるとのことです。

 

一理ありだと思います。未来がどうなるかはわかりませんが、AIの仕事代替能力は高く、アメリカではこれから20年以内に半数の近くの人が失業するという予測データもあります。日本も同じでしょう。

 

だからこそ、まずはAIが何が得意で何が苦手なのかを知ることが大切です。それは、周囲の人が何が得意で何が苦手なのかを知ることと同じです。誰かと同じことをしていては、価値も仕事も生まれません。それと同じで、AIやロボットと同じことをしていては、仕事を奪われるだけです。

 

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意味を理解する能力が必要

 

AIは暗記、データ収集、そしてそれらを生かした処理能力が得意です。つまり「言われたことをやる能力がハンパない」わけです。会社勤めで、マニュアル通りこうやって営業してこい!と命令されて動く営業マンはAIに勝てません。

 

ECサイト(例えばアマゾン)が活況を見せています。顧客が求めるものをサイトやアプリが(裏で動くAIが)いち早くリサーチして、商品提案をしてくるので、人間はとても勝てません。

 

しかし、例えば人対人は違います。よく医者もAIに仕事を奪われると聞きますが、患者さんとの生身のコミュニケーションは医者でなくてはできません。患者さんの痛みや苦しさを感情的にわかってあげるなどのコミュニケーションはAIにとって一番苦手な能力だからです。

 

感情を理解してあげたり、論理的に説得力を持って人を動かすことのできる能力がAI時代に求められる能力です。つまり意味を理解し、周囲に自分が考えたことを伝えられる能力です。現在の教育現場で行なわれている詰め込み一方通行の授業ではその力を養うことはできません。

 

最低限の知識は必要です。ただ、詰め込みのスピードと効率ではAIに勝てません。むしろAIを使って、効率的に楽しく知識を詰め込んで、学校ではディスカッションなどのアウトプットに力を入れる。タブレット教育が浸透してきましたが、遊び感覚のゲームアプリを使って、知識を吸収するのが一番手っ取り早い。知識の高速吸収は一人の方が逆に効率がいい。

 

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得た情報を使うことで、知識も定着し、ディスカッションなどで周囲との研鑽を経ることで、自分自身で学ぶ姿勢も身につきます。インプットとアウトプットはセットです。両方の性質を生かすことで、AIにできない能力を開発することができるようになります。

 

これからのAI時代に求められることは、まずはAIがどういったものなのか。何が得意で、何が苦手なのかを知ること。そしてAIにできなくて人間にできることに意識を向け、能力を向上させていくことです。それは意味を理解する能力、感情を理解し、適切にコミュニケーションが取れる能力です。

 

算数を解く時に子供もAIも苦手とするのは、計算ではなく、文章題です。文章を読解し、状況を読み取れなくては答えが導き出せないからです。子供も苦手なこの手のタイプの問題ですが、これは人間の方が勝ります。少なくとも当分の間は。その文章が伝えようとしている状況を読み取る力をつけることは、AIに負けない力をつけるいい練習になります。

 

負けられませんね。