「武器としての経済学」(大前研一著)を読んで
経済学の本というと難しそうな印象を受けますが、この本は複雑な書き方はされておらず、各項目に沿って、コンパクトに内容がまとめられています。かつ、内容が本質的で、具体例や現場の様子について詳しく書かれているので内容が濃いものとなっています。
特に「シェアエコノミー」や「フィンテック革命」などトレンドのキーワードが多く出てくるので、非常に勉強になりますし、「観光産業」にも触れていて、どのように外国人観光客を取り込んでいくべきか。おすすめの観光ルートまで紹介されています。
・「シェアエコノミー」
シェアエコノミーについては、本書で取り上げられていた、「エアピーアンドピー」が面白かった。メジャーになっているのは「エアビーアンドビー」です。一般家庭の空室などを利用して、観光客などに泊まってもらう、いわゆる民泊です。しかし、「エアピーアンドピー」はもっとピンポイントな使い方です。ピーは英語で’pee’、つまり「用を足す」ということなので、一般家庭で用を足すということです。値段は1ドル。
いかに余剰活用経済が発展しているか、ということが表れていますね。中には「トイレまで借りなくても」と思うかもしれません。しかし、観光地ではトイレの数が足りておらず、特に女性トイレは行列ができています。
日本のトイレは比較的キレイですが、海外に行くと公共のトイレは汚いところが多いですし、そもそも公共トイレでもお金がかかります。それならば一般のトイレを借りれた方がメリットが大きいかもしれません。
・「フィンテック革命」
仮想通貨やブロックチェーンはフィンテックの一例です。わかりやすい例はスイカやパスモです。あれも仮想通貨の一種ですね。「現金はもうやめようよ」ということの表れです。
最近、ラインペイのCMを見たのですが、会社で飲み会をして幹事がお金を徴収します。しかし、割り勘あるあるですが、「1万円しかない奴」「現金持ってない奴」など、いろいろな人がいるので、うまく現金が集まりません。挙句の果てに、鍋の中に小銭やお札が落ちてしまう大惨事です。
鍋に落とすかねw
ですが、小銭を大量にもらったら、確かに落としてしまう危険性があります。そもそも、飲み会でなくとも、日常で現金を持ち歩くというのは、危険を伴うと同時に、不便ですよね。財布は重くなる一方です。
そんな時に威力を発揮するのが、クレジットカードやデビットカードです。現金を持たずして買い物ができるので、非常に便利です。海外の方のほうが日本よりもクレジットカードの利用率は高いですし、海外旅行に行く時はクレジットカードは必需品です。ただ、手数料が取られてしまったりとデメリットもあります。
それらの問題を解決するのが、フィンテックです。ブロックチェーンという技術を使って、仮想通貨に信用を持たせ、現金を使わずとも、銀行を通さずとも、お金、つまり信用のやり取りをすることができます。現金を使うのをやめてしまおう、カードを使って手数料も取られないようにしよう、というわけですね。
むしろ、ラインペイなども含め、世界ではスマホ決済が広がっているので、カード類を持たなくても、スマホが一台あればお金のやり取りができるようになってきています。本当に便利ですね。財布が消えてしまいます。