「脳リミットのはずし方」(茂木健一郎著)を読んで(2)
脳リミットをはずす「利用」と「探索」の両輪を回してみる
ここでいう利用とは、「確実なもの」を指します。感情的な「自信」のようなものや、サラリーマンである「安定」なども確実なものとします。一方で探索とは「不確実なもの」です。感情的な「不安」や、起業や今までやったことのないことへの「挑戦」などを指します。
著書の茂木さんはこの「利用」と「探索」の両輪をバランス良く回すことが大切だと言います。確かに安定志向が強すぎると何も新しいことが生まれず、むしろ古い価値観に縛られるというリスクが生じます。
かといって、確実なものがないのに新しいことに挑戦するということはイコールただの無謀ということにもなりかねません。いくらなんでも貯金が5万円で起業にチャレンジするのは無謀です。
例えば、「起業の話であるならば、新卒で就職をして、3年の経験を積み、同時に一定の貯金を貯める。3年あれば節約をしながら200万〜300万は貯まるでしょう。仕事では多少の人脈ができ、仕事のスキルや対人スキルなどを磨いてきたので、自分に自信もついてきました。
3年の間に自分が起業してどういった仕事をしていきたいのか、構想も練ってきました。会社の上司や人事には引き止められはしましたが、気持ちは固まっており、起業に向けて行動した。不安はある。でも、やりたいことがあるなら、行動あるのみ」。
これは一つの「利用」と「探索」のバランスが取れた状態です。最低限のやるべきこと、準備、計画をしたら、探索という行動に出る。不安も探索の一つです。会社にぶら下がるのではなく、自分の足で歩いていく決断をしたのです。
これができない人が多い。特に起業の場合はそうです。家族を持った場合などはより一層、守りに入りがちなため、新しい挑戦ができません。
先ほどの例で言うなら、結婚や家族を持つのは、起業をした「後」の方が良いと言えます。例えば30歳で結婚をしたいと考えたとして、もし、起業をしたのが26歳なら、起業家として3〜4年ほどキャリアを積んでいる状態で結婚ということになります。
それならば、起業家としての自信や安定もあるかもしれません。起業家続けていくことを家族に説得することも難しくはないでしょう。逆に、サラリーマンをしていて、家族やマイホームなどをを持った後に起業をしようと思ったら大変です。
家族からすれば、安定がなくなってしまう可能性があるわけです。「ローン返済はどうするの?」「子供の学費は?」などと言われると、起業することをためらってしまうでしょう。
家族を荷物というと語弊があるかもしれませんが、ある意味での制約ではあります。一人の時なら身軽に挑戦できたことが、家族を持つことでハードルが高くなってしまうんです。
もし、それらのスタートを切る前であるならば、まずは「利用」、つまり「身軽さ」を使って「探求」すること。つまり起業してしまうことです。家族を持ったとしても、家族になる時点で、将来は起業をするつもりであることを「事前」に相談できていれば、家族も受け取り方が変わるはずです。
つまり人生を考える上での、順番、優先順位、計画が大切になってきます。それがしっかりしていれば、「利用」できるわけです。それから「探索」することができます。
お年寄りの方々に、「人生で後悔していることは?」とたずねると、一番多い答えが、「もっと挑戦しておけばよかった」なのだそうです。お年寄りになってから挑戦できることもたくさんあると思いますが、若い時にしか挑戦できないこともたくさんあります。
後悔しないように生きていきたいですね!