勝ち組企業の「ビジネスモデル」大全(大前研一)を読んで
こういった本を読むと、自分の中に二つの感情が出てきます。一つは「やる気が出る」こと、もう一つは「危機感を持つ」ことです。
特に今回の書籍はボリュームも内容密度も申し分ないものになっており、よくこれだけの書籍が書けるものだと感心してしまいます。それだけの勉強をされているのと、書籍にするまでの手間をかけていることを考えるとものすごいことだと思います。
part1では「21世紀企業の勝ち組みパターン」として「モノ・ヒトを抱えずに、客を掴む」方法を述べています。part2ではたくさんのケーススタディの中から「もし、あたなた経営者ならば」という視点で具体的な企業を例として、取り上げています。
面白いのは、ケーススタディに出ている企業が、必ずしも勝ち組の企業とは捉えられていないところです。例えば、イオン、しまむら、ドンキホーテ、メルカリ、ヤマサ醤油などの企業はどこも有名で、勝ち組とされそうですが、経営の抜本的な改革や、海外展開の必要性など、ディスラプティブ・イノベーション、つまり破壊的な改革が必要だと述べます。
大企業なのに、と思われそうですが、それだけの大企業でも、大きなチャンレンジをしていかないとグローバル化の波にはついていけないということなんですね。
うちの近所には少し大きいショッピングモールがあるのですが、そこは店舗の撤退が相次ぎ、かなりさびれた場所になっていました。近所なので、さびれていても本屋さんやフードコートなど利用することもあるのですが、通いながら「もし私がここの経営者だったら…」と日々、考えていました。
やはりショッピングモールという店舗網なので、魅力的なお店が入れば、お客さんは来てくれます。ただ、魅力的なお店と言っても、ショッピングモールのハブ的な存在にならなくてはいけません。そこで私が考えていたベストなテナントは、「スタバ」でした。
スタバができれば、主婦たちの憩いの場となります。カフェはその性質上、人がコミュニケーションをとる場となります。特に子供が多い世帯の主婦層が多いので、子連れで来てくれるでしょう。
スタバの中に防音設備を備えたボックス型のキッズスペースを作れば、主婦の方は安心しておしゃべりに夢中になれます。そんなストレス解消の場所を作ってあげればいいと思うんです。
そのショッピングモールにもともと入っていた本屋さんとコラボしてブックカフェスタイルにすれば、相乗効果も図れます。
そんなふうに、自分がもし経営者だったら、という視点を持って考えることがあったので、今回の著書のケーススタディは経営者視点を持つ上で非常に勉強になります。著書では、深く企業の内情を把握し、実践的な視点を持って述べられていたので、とても驚きました。
自分ももっと勉強したり、本を読んだりしようと思えるので、非常にモチベーションが上がります。モチベーションを上げるための方法は人それぞれだと思います。映画を見る、お気に入りのカフェでコーヒーを飲む、友達と語り合う、など。ただ、私はそんな方法の一つに読書があります。知恵を学べるだけでなく、モチベーションも上がるので、一石二鳥です。
同時に危機感も持つわけです。アジアでも日本は成長が止まっています。規制ばかり作り、イノベーションも起こりません。もはや政府主導では柔軟に動けない。そんな時代に経済を動かすには、新しいことにどんどん挑戦するイノベーティブな企業か、強い個人が活躍しなくてはいけません。
これからは幾つかの企業で複業的に働きながらも、力を強めていける個人がどれだけ増えるかが、経済発展、地域発展のチャンスとなりえます。
とにかくまずは世界を知ること。そして日本を知ることです。それらを知ってから初めて自分が、ひいては自分たちが何をすべきなのかが見えてきます。