「魔女の宅急便」から考える仕事のはじめ方
もうあまりにも有名な「魔女の宅急便」。通称、魔女宅。もう何度も見たこの作品ですが、大人になったから見ると、子供の頃とは違う視点で見ていることに気がつきました。それは、仕事とは何か、そんなことを深く考えたこと。だって、キキはすごいんですよ。
・天気がいいから旅立つキキ
魔女宅のスタートは景色の綺麗な原っぱでキキがラジオを聞きながら寝そべっているシーン。ラジオによるとその日は快晴で天気良好。すると、キキは予定していた数週間後の旅立ちを早め、すぐに旅立つことを決めます。
どこに行くのかも、どこに泊まるのかも決めていません。そもそも何をするのか、さえ決めていません。決めていたのは、13歳だからとにかく修行の旅に出る、ということだけ。これって究極ですよね。
ワンピースのルフィーでさえ、旅に出る時には、「海賊王になる」という夢と、「体がゴムになり、鉄砲みたいに敵を倒せる」という武器をひっさげて航海に出るんです。
キキはとにかく天気がいいから、旅に出るです。これってすごいことです。生き方を考える時、仕事を考える時、人は普通、計画を立てます。
いや、やりたいことがあっても、現状を変えようとせず(変えられず)、計画すら立てません。それは、不安が強く、不安定が怖いから。キキは何も決めず、一人(と一匹)で旅に出ました。
・泊まるところすらない
無計画に旅だったキキはホウキに乗りながら、他の魔女に会います。その魔女は占いができるので、それを自分の仕事にしていました。キキは漠然と「自分には何ができるかな…」と考えながら、海が見える素敵な街を見つけます。たまたま。
街を見つけたのは良いのですが、家がありません。借りるアパートもありません。ホテルに向かったキキですが、身分証明書などの掲示を求められ、断ってしまいます。
行くところもなく、途方にくれるキキ。これって…すごいですよね。無鉄砲すぎる。そりゃあ、こうなりますよね。
・おソノさんと出会えたのは運が良かったから。でも出会えたのは旅立ったから。
どこに行こうか途方にくれている時、たまたまおソノさんというパン屋さんのおかみさんと出会います。おソノさんはお客さんが忘れてものをしてしまい、困っていました。
そこでキキがお客さんのところまで忘れものを届けてあげます。これがきっかけでキキはおソノさんのところに下宿のような形でお世話になるんです。…すごいですよね。この運の強さ。
宅急便屋さんを始めることにしたキキですが、おソノさんのおかげでお店の電話を借りられたり、朝ごはんをまかなってもらえるようになったりと、いいことが続きます。
これは運が良かったからです。ですが、天気がいいから、とあの日に旅立っていなかったら、全く別の運命だったかもしれないのです。運を引き寄せたのは、天気がいいから、と旅立ったキキの行動力です。実際は大雨でしたしね。
・仕事を決めた後もドタバタの連続
やっと仕事と居場所が決まったキキですが、他は何も決めていません。たまたま宅急便の仕事をしていると耳にした最初のお客様が仕事を頼んできた時、値段は?と聞かれ、
「あ、決めてなかった…」
みよ、この無計画さ。するとお客さんから「これくらいでどう?」とお金を渡され、「こんなに…ありがとうございます」とお金を受け取るキキ。
お釣りはないのか!?
と思ったのは私だけでしょうか。こんなに…もらったのだから、お釣りは!?淑女のお客様はそんなこと気にとめていない様子でした。お客様によってはツッコむと思うんですが。運良く素敵な淑女だったので、問題になりませんでした。
運良く仕事をもらえ、配達に向かうキキ。ここでもトラブル発生中。晴れていたのですが、突風にあおられお預かりした商品を落としてしまいます。
おいおい!
運良くカゴを見つけましたが、中身がない!
おいおいおい!
運良く中身が見つかりましたが、…壊れている!
おいおいおいおい!
そこで救世主現る。そう、絵描きのウルスラさんです。たまたまウルスラさんが裁縫が出来たので、壊れた中身の人形を直してくれます。キキは本当に運が強いですよね。
それでも、どんなにドタバタでも、少しずつ仕事を軌道に乗せていくことができました。海の見える素敵な街に住み、素敵なパン屋さんに下宿し、おソノさんやフクオさん(おソノさんの旦那さん)、トンボ、素敵なお客様に囲まれながら、自分の得意なことを仕事にして生きていけるんです。
これは全て、あの日、「天気がいいから旅立った」あの行動一つです。行動したから素敵な街にも素敵な人たちにも出会えた。ドタバタでも頑張ったから、仕事も軌道に乗りました。
現実には行動ができずに後になってから後悔をしてしまったり、日々を悶々と過ごしてしまったりしている方も多いはず。キキから少しの勇気を分けてもらいましょう。そして小さくてもいいので、旅に出てみます。行動してみます。
もちろん、…天気が良かったら。(そう見せかけて夜は大雨ですよ!)