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栄養価が高く、おいしい本:「お金2.0」
以前の記事で本から考察する「料理人」のスキルについて書きました。内容の濃さが栄養価で、読みやすい本がおいしい本だと。売れる本を作る時には栄養価が高く、なのにおいしい本が必要だと。ありました。著書名「お金2.0」。ビジネスマンの方は既にご存知の方も多いかもしれません。さあ、料理人(作者)は誰でしょう!?
料理人(本の作者)は佐藤航陽(サトウカツアキ)さん。株式会社メタップス社長。この本は文字通りお金の話ですが、人間の幸せを形成する上で、これからの国や経済がどういう形であるべきなのかをお金を通して語られています。
始めは少し苦いかな?と思いながら読み進めていたのですが(料理で例えると!)、2章に入ったところからエンジン点火。一気に最後まで読み進めてしまいました。(栄養があるのに美味しい!)私は定食ランチでは、はじめに肉から食べて、そのあと野菜を食べる人なので、本でいうと苦めなところ、硬い(固い)ところはあと回しにします。
特に印象に残ったのは「価値の最大化」です。お金はそもそもどういったものなのか?を過去から遡り、未来に向かって説き進めていっています。未来志向の経済は今までのお金ではなく、「価値」が回していくべきものだと。
その価値の中には時間も含みます。現代は人生の時間が多い若者がお金がなく挑戦ができない、一方でお年寄りは残された時間が少ないのにお金をいっぱい持っているという状態です。お金ではなく時間で回す経済を作れれば、若者にチャンスが増えていきます。
具体的なところは本書を見ていただければと思いますが、読みすすめていくうちにお金や経済、国、そしてビジネスの最前線や、これから人はどうやって生きていくべきか、といった深いところまで掘り進めているな、と感じました。
お金と時間
今まで人はお金のことばかりを大切にしてきました。年収が少ない人を下に見たり、高い車に乗っていることがステータスだという風潮が強かった。だから給料が高い会社に入ることが第一。そのために一流の大学、一流の学校に行く、子供はそのために詰め込み型の勉強を頑張り、塾に行く。
今まではそれで成功だったかもしれませんが、インターネットであらゆる壁が溶け、縦社会だったシステムが、横に、斜めに、あらゆる角度に溶け始めました。ビジネスは会社を通さずとも消費者同士が繋がることで成り立ってくるようにもなりました。
むしろ、消費者同士をつなぐようなビジネスが会社を作り、育てています。本来の需要があるところにやっと行き着くところまで来ているのです。
今はモノが溢れています。溢れるほどモノは安くなり、各家庭のお金は余ってきます。反対に、これから最も大切な価値になってくるのが、時間です。お金は増やすことができますが、失われた時間は取り戻すことはできません。
これからは人と人をつなぐビジネスが成功するようになります。それは人がモノではなく、サービスを求めているからです。ディズニーランドに行ったら楽しい。それはモノよりもサービスの価値が大きい。一流ホテルに泊まると快適なのは、部屋のクオリティよりも接客のレベルです。スタバのコーヒーは美味しいですが、スタバに価値があるのはその場の空間と店員さんのサービス力です。
これらのサービスを受けることができるビジネスに価値が出るんです。その価値と、その価値を提供する時間が経済価値になるとしたら、すごいことですし、そうなってほしいと思います。